Go To キャンペーン利用意向は46% 「グランピング」や「独立型コテージ」が人気上位に
東京都のキャンペーン対象除外が決定したことで、観光関連事業者、消費者いずれにも不公平感がある中、7月22日より開始を迎えることになった「Go To キャンペーン」。
利用を考えている人はどれくらいいるのか?
無作為抽出の1000名のアンケート調査を実施しました。
結果は、「Go To キャンペーンを利用したい」と回答した人が36.2%。「お得に旅ができるので、旅行回数を増やしたい」と回答した人が9.8%。両方の回答を合わせたGo Toキャンペーンに前向きな回答をした賛成派が46%という結果となりました。
一方、「お得に旅ができるので、旅行はしたいけどコロナ感染が心配である」は29.4%。
「感染拡大が心配で旅行にはいきづらい」と回答した人は19%。
「キャンペーンに反対。旅行に行こうと思わない」と回答した人は5%。
この3つの回答の合計は53.4%。
Go Toキャンペーンに不安を感じる人は過半数以上という結果になりました。
一方でGo Toキャンペーンを完全否定する「キャンペーンに反対。旅行に行こうと思わない」との回答は5%。案外少ない結果となりました。
※このアンケートの実施日は7月11日になりますので、コロナ感染状況により、現時点とは変化している可能性があります。
大半の方が現状のコロナウイルス感染状況下では、旅行に行きづらいという感覚を持っているものの、潜在的には旅行に出かけたいと考えていることがうかがい知れます。
「他人の目が気になる」、「他の都道府県にはいきづらい雰囲気を感じる」などの自由記入も散見され、世間の目や世論の同調圧力により、旅行を自粛せざるをえないと感じている方が多いのかもしれません。
アンケートは反対派が大勢、でも一部のホテルの予約状況は活況の矛盾
アンケート結果はGo Toキャンペーン慎重派が過半数ですが、実際のホテルの予約状況は少々異なるようです。
Go To キャンペーンに関する宿泊施設への問い合わせは7月10日の赤羽国土交通相の会見から激増しています。
実際、大手インターネット旅行代理店では、7月11日、12日の予約実績が前年対比300%を超える異常な状況になっているとの情報もありました。Go To キャンペーン開始の発表に合わせ、大手オンライン旅行代理店が大規模なセールを開催していまますので、その影響もあるかもしれません。
ホテル関係者によると、「キャンペーン前の予約は補助対象になるのか」、「どうすれば補助を受けられるのか」といった問い合わせ内容が多く、申請手続き方法や宿泊施設自体の登録方法などの詳細が明確でない中、困惑もあるが、Go To キャンペーンを起爆剤にしたいという声が多く聞かれます。
「Go To キャンペーン」では貸切ヴィラやキャンプ、グランピングが人気に
「Go To キャンペーン」で泊まってみたい宿泊施設は?という質問の回答は下記。
(複数回答可:回答者1003名)
1位 貸切ヴィラ・貸別荘(40.8%)
2位 アウトドアのキャンプ(30.5%)
3位 コテージタイプのグランピング(30.2%)
4位 温泉旅館(27.9%)
5位 1泊3万円以上の高級旅館(25%)
6位 日帰りのマイカー旅行(24.8%)
7位 テントタイプのグランピング(23.2%)
8位 観光地の大型リゾートホテル(22.1%)
9位 都会のシティホテル(9.1%)
10位 パッケージツアー(7.6%)
3密をさけられるイメージが強い貸切ヴィラ・貸別荘がトップで40.8%の支持を集めました。
またオープンエアでコロナのリスクが少ないとされる自然中心のアウトドアのキャンプやグランピングが人気を集めています。
また、温泉旅館については「部屋食であれば行きたいが、ビュッフェ形式は選べない」といった意見もありました。
一方、「都会のシティホテルを選ぶ」とした回答は9.1%で9位。「パッケージの団体ツアーを選ぶ」については7.6%という厳しい結果に。
コロナ感染者数が多い東京や大阪などへの旅行を控えようとする消費者が多く、都会のシティホテルは今後も厳しい経営状況が続くことが予想されます。
「パッケージの団体ツアー」については、バスなど密閉された空間での滞在をイメージさせることもあり、選択する人が少なかったと考えられます。
「Go To キャンペーン」で利用したい旅先や移動手段はマイカーの短距離が首位
「Go To キャンペーン」で利用したい旅先や移動手段は?という質問の回答は下記。
(複数回答可:回答者1003名)
1位 マイカーで短距離旅行(53.8%)
2位 マイカーで長距離旅行(43.4%)
3位 飛行機(26.6%)
4位 電車の短距離旅行(22.3%)
5位 電車の長距離旅行(20.4%)
6位 新幹線(15.4%)
7位 クルーズ船(5.4%)
8位 団体バス旅行(4.5%)
圧倒的にマイカー派が多く、短距離のマイカー旅行を支持する回答者が過半数の53.8%となりました。また、機内でのクラスター情報がなく、「飛行機は安全だから」と考える人も一定層あり、飛行機での旅行を希望する回答者も26.6%という結果となりました。
一方厳しかったのが、クルーズ船や団体バス旅行。クルーズ船はダイヤモンドプリンス号の集団感染、団体バスは乗務員のコロナウイルスの感染が奈良県などで報じられたことによるイメージ低下が影響していると思われます。
貸別荘やコテージ、グランピングなど自宅近くの施設で楽しむマイカー旅行が人気を博している状況を裏付ける結果となりました。
「Go To キャンペーン」で宿泊施設に期待したいことは、「単純な値引き」が首位
「Go To キャンペーン」で宿泊施設に期待したいことは?という質問の回答は下記。
(複数回答可:回答者1003名)
1位 宿泊代金を値引きしてほしい(71.5%)
2位 食事のグレードアップを期待したい(31.5%)
3位 アクティビティなどで滞在時間を充実させてほしい(21.6%)
4位 イベントなどで滞在時間を充実させてほしい(20.3%)
5位 アメニティや寝具の改善で快適な空間づくりを期待したい(18%)
圧倒的に単純な値引きを求める消費者が多いという結果になりました。
今回の「Go To キャンペーン」では1人当たり20,000円上限(現時点は14,000円)の半額補助があり、高額な旅行プランを設定する宿泊事業者も多いかもしれません。
ただ、食事のグレードアップなどを望む声は案外少なく、もとよりブランド化されていない宿泊施設が高額な販売プランを設定した場合など、「便乗値上げをしている」などの誤解につながる可能性もあります。
従前から「高級宿」と認知された宿泊施設に人気が集中しそうです。
コロナ感染防止のため宿泊施設に求めるのは「清掃」、「消毒」の凡事徹底
コロナウイルス感染拡大防止で宿泊施設に期待したいことは?という質問の回答は下記。
(複数回答可:回答者1003名)
1位 室内消毒の徹底と、実施状況の明示(52.9%)
2位 部屋食など他の宿泊者と同じスペースに滞在しないサービス(52.6%)
3位 アルコール消毒液の貸与など(43.5%)
4位 屋外BBQなど3密を回避した宿泊プラン(42.7%)
5位 温泉風呂の時間貸しサービス(36.9%)
6位 大浴場の入場制限(35.8%)
7位 ビュッフェ会場の入場制限(34.5%)
8位 無人チェックイン・チェックアウト(30.7%)
やはり室内消毒の徹底と、その実施状況の明示がトップとなりました。現状では、大半の宿泊施設がコロナ感染拡大防止に取り組んでいる状況ですが、その取り組みを予約時点から伝えるためには、ホームページなどにしっかり明示する必要があります。
「部屋食対応」や「アルコール消毒液の貸与」なども上位となっています。人手の問題やハード面の制約など、宿泊施設の個別事情により対応が難しい点もあるかもしれませんが、感染拡大キャンペーンとならないよう全力を尽くす必要があります。
宿泊者への検温実施が義務付けられるなど、初めての取り組みにとまどう事業者も多いと予想されますが、施設を利用する側、利用される側双方の協力により、WITHコロナ時代の新しい観光スタイル確立が望まれるところです。