この記事では、全国グランピング協会の基幹業務である開業プロデュース業務についてご紹介したいと思います。
急増するグランピングプロデュース案件
2020年11月現在、コロナウイルスの流行により、「3密回避のレジャー、旅行」としてグランピングが注目ビジネスとなったことで、開業プロデュース業務は劇的に増加しています。全国グランピング協会のグループでは、現時点で約20件の新規プロデュース業務が進行中です。この案件数は国内最多であり、日々、開業ノウハウの蓄積やプロデュース力の研鑚に努力、邁進しております。
HPを通じたお問合せも増加しており、2021年~2022年にかけて我々がプロデュースに関わったグランピング施設は30ヵ所以上、開業を迎えることになりそうです。
今回は、市場拡大が進むグランピング業界への参入にご関心がある事業者様にグランピングプロデュース業務の中身や実績をご紹介します。
グランピング施設のプロデュースのポイント
まずグランピング施設のプロデュース業務において大切なポイントを整理します。
【グランピングプロデュースにおける7つの重要ポイント】
1.立地選びは慎重に。「立地の失敗は取り返しがつかない」
2.ロケーションや土地の広さを活かしたグランピング施設づくり
3.競合グランピング施設との差別化を考える
4.閑散期の集客ツールには十分な予算取りをする
5.イニシャルコストのコントロールは土地整備費がポイント
6.地形と客室数と不動産コストのバランスを考える
7.事業利益はグランピング施設のゾーニングに左右される
1.立地選びは慎重に。「立地の失敗は取り返しがつかない」
集客にもっとも影響を与える要素は立地です。我々のプロデュース業務では、立地選びからご相談に応じています。立地によっては、開業NGをお伝えし、別の案件を一緒に探させていただくケースもあります。原則、グランピングの好立地はある程度の商圏人口が望める都市部近郊のエリアをおすすめしています。人口ボリュームがあるエリアから150㎞を超える距離がある場合は、集客に苦戦する可能性が高く、客室数や差別化ポイントづくりについて、より慎重な検討が必要になります。
2.ロケーションや土地の広さを活かしたグランピング施設づくり
次にロケーションを活かしたプロデュースを意識しています。「オーシャンビューの物件でないとだめですか?」とご相談を受けるケースもありますが、必ずしも眺望が抜群である必要はありません。敷地のサイズなどを総合的に判断した上で、眺望がイマイチでも集客できるグランピング施設を提案させていただいています。ある一定の土地サイズがある前提ですが、ペット同伴対応やドームテントが持つユニークさで世界観を生み出し、成功している事例は多数あります。
3.競合グランピング施設との差別化を考える
次にテント選びについてもアドバイスさせていただきます。全国グランピング協会のグループでは、業界内で最も多くの開業コンサルティングを受託しているだけでなく、すでに開業されている施設様やテント輸入業者様、不動産業者様からも日々多くの情報が寄せられています。
最近は、プロデュース業務において、特定エリアで複数、開業のご相談をお受けすることもあり、そのような場合は、同じような施設となってしまわないよう、各々のグランピング施設に特徴を持たせるよう配慮しています。
また、私共のプロデュース業務の特徴として、開業後の集客業務まで支援させていただく点があります。2020年11月時点で全国約30か所のグランピング施設の集客業務を行っており、広告効果、プラン修正効果、イベント効果など宿泊予約に関する膨大なデータや経験を蓄積しています。つまり、売れるテントや宿泊プランの成功事例はもとより、失敗事例についても業界内で最も多くの情報を有しています。これらの情報をもとに、プロデュース失敗のリスクを最小限に抑える努力をしています。
4.閑散期の集客ツールには十分な予算取りをする
グランピングプロデュース業務の中で特に重要なのが、閑散期の集客を意識したプロデュースができているかという点です。
閑散期の集客に必要な要素として、防寒対応のBBQスペースや温泉施設の設置などがあります。事業予算が青天井という事業主の方は基本的に少ないと思います。予算配分の優先順位としては、閑散期の集客ツールはかなり高めに考えるのが、私共のプロデュース業務の特徴です。開業時期によっては、設備投資を2段階に分けていただくアドバイスもさせていただいております。
5.イニシャルコストのコントロールは土地整備費がポイント
イニシャルコストにもっとも影響を与える要素は、開業地そのものの特性です。
開発許可やインフラ整備が必要な物件かどうかを見極めることが重要です。グランピング施設の開業予算を予測する上で、最も難しいのが土地整備関連コストの予測であり、法規制の知識と工事金額に対する一定の知識や経験が必要です。特に都市計画法、自然公園法、建築基準法などが開業コストに大きく影響を与える法律ですが、多くの方にとって馴染みがない内容であり、それぞれの法規制が開発に与える影響を総合的に理解している専門家も少ないのが実情です。
全国グランピング協会のプロデュース業務を担当するスタッフは、開発案件に関する情報を常に共有しており、スタッフ全員が最新の情報を得られるように心がけています。
6.地形と客室数と不動産コストのバランスを考える
地形は大きなポイントです。できるだけフラットな土地を選ぶべきです。また、客室を整備できる数も土地のフラットな面積や形状に左右されますので、慎重に判断すべき点といえます。
基本的に私共のプロデュース業務のスタンスは、「土地購入」よりも「土地賃貸」をおすすめしています。1客室当たりの土地賃貸料金の目安は月額10万円~15万円前後には、おさまるよう注意しています。土地面積は広くても、客室数があまりとれない物件もありますので、その点に注意が必要です。
7.事業利益はグランピング施設のゾーニングに左右される
利益を出せるグランピングを作れるか否かで大事なポイントは人件費の抑制を考えた施設になっているか否かにかかっています。清掃コスト、食事提供コストについては、グランピング施設のゾーニング段階から意識しておく必要があります。たまに、広大な敷地をスタッフが徒歩移動しているグランピング施設も見かけますが、毎日のことですから、とても効率が悪く、負担も大きいです。本来は予算配分をしっかり行うべきポイントですが、施設の魅力アップにばかり集中しすぎると、業務効率の悪い施設となってしまい、利益が残りにくいグランピング施設となるリスクがあります。
次に具体的にグランピング施設のプロデュース事例をご紹介していきます。
グランピング施設のプロデュース事例1 グランドーム伊勢賢島
東海エリア屈指のグランピング施設に成長したグランドーム伊勢賢島。
12棟のドームテントと3棟のベルフォーステントのグランピング施設です。東海エリア初の本格的なドームテントとして開業時から多くの注目を集めました。
9000㎡を超える敷地にゆったりと配置されたドームテントは、施設全体の空撮映えを生み出し、本施設の魅力を分かりやすく伝えています。
施設内には、管理棟や集合型のトイレやシャワー設備が設置されていますが、初期投資をおさえつつも、スタイリッシュなイメージを保っています。
周辺観光施設との連携によるアクティヴィティーや温泉施設とのタイアップにより、イニシャルコストを抑えながらも、ユーザーが1日楽しめるグランピング施設として運営されています。
もともと、グランドーム伊勢賢島の開業地では、宿泊施設が運営されており、その宿泊施設の廃業後は管理棟のみを残した上で、ヘリポートとして活用されていました。
ヘリポート運営事業者が活用していた管理棟をリノベーションして、グランピングの管理棟に活用できた点は大きく開業コストの抑制に貢献しました。
また、合併浄化槽も活用されたまま残されており、新たに整備する必要もありませんでした。このような既存の開発済物件であったため、当該地でのグランピング施設整備には、新たな開発工事は不要と判断され、スムーズな事業着手につながりました。
グランピング施設のプロデュース事例2 グランドーム神戸天空
8棟のドームテントで構成されているグランドーム神戸天空。箕谷グリーンスポーツホテルの隣接駐車場があった場所に2020年8月に開業しました。
グランドーム神戸天空が立地する神戸市北区のエリアは、神戸市の中心部である三宮から車で約15分の距離にある好立地です。
開業当初から大人気となり、オープンした8月から12月は、ほぼ毎日が満室稼働で順調に運営されています。
グランドーム神戸天空には、源泉かけ流しの「銀河の湯」が隣接しており、冬季の集客にも好影響があります。また、大浴場やホテル内のトイレを活用するとができたため、ドームテントサイトには、水回りの設備は準備せずにすんだこともイニシャルコスト抑制に大きく貢献しました。
また、人口ボリュームの大きいエリアから近いため、大人数グループの需要が予測されたため、10mの特大ドームテントも1基設置しています。この予測は的中し、10mサイズのドームテントから予約が入っていくなど、売上アップにつながっています。
2021年シーズンに向けてドームテントの増設を検討されており、今後の躍進が注目されるグランピング施設です。
ホテル・旅館や温浴施設に併設されたグランピングは初期投資が少なくすむことが多く、特に温泉がある場合は冬季の集客にも強くなるといったケースの典型的な成功事例といえるとかと思います。
グランピング施設のプロデュース事例3 シオサイテラス南紀白浜
シオサイテラス南紀白浜様は、2019年7月に開業されたグランピング施設です。
私共が支援をさせていただく以前は、ドームテントの輸入業者によるアドバイスで施設を作られていましたが、「オーシャンビューの良い立地だが、グランピング運営や集客のノウハウを学んだことがなく、苦戦しているので、アドバイスをお願いしたい」といったご相談を支配人様からいただきました。
そこで2020年7月の営業を縮小していただき、新規にBBQスペースの設置やファイヤーピット、共用スペース、シャワールームなどを整備し、HPの運営もグランピングの集客力に定評のある株式会社ブッキングリゾートにお任せされました。
グランピングプランの食事メニューも一部については、ブッキングリゾートから提案を受け改善し、エンドユーザーへの訴求力を高めることに努めました。2020年8月のリフレッシュオープン以降は前年対比で4倍~7倍程度の売上高で推移しており、多くの宿泊事業者が苦戦するコロナ禍においても、好調な運営状況を続けておられます。
もともとの客室の設定は10室でしたが、眺望がうまく確保できていない2棟をツインドームとして8室の運営に切り替えていただき、人数の多いグループの取り込みにも成功しています。
グランピング施設に必要な機能を付加し、株式会社ブッキングリゾートが持つ集客プラットホームで露出を増やしたことで、飛躍的に売上や利益を向上させることができた成功事例です。
終わりに
全国グランピング協会では、新規開業プロデュースはもちろんのこと、既存グランピング施設のリニューアルや集客強化のご相談もお受けしております。
プロデュース事例に挙げさせていただいた3つのグランピング施設様以外にも、数倍の売上に伸長したグランピング施設の事例は多々あります。
全国グランピング協会のグループ運営施設も含めますと、グランピングの企画プロデュースは国内随一の実績と経験があります。
また対応エリアについても国内全域でプロデュース業務は可能であり、関東・関西・東海・中国・四国エリアでは、実際に集客支援業務を行っておりますので、具体的なアドバイスが可能です。
全国グランピング協会では、グランピング業界の健全な発展と市場拡大を理念にしておりますので、基本的なグランピング計画のアドバイス業務は、無償で対応させていただいております。グランピングの開業にご関心をお持ちの方は、ぜひ、お声掛けください。