グランピングの既存市場
(一社)全国グランピング協会では、2020年12月時点のグランピング業界の市場規模を600億円~800億円と試算しました。
グランピング業界の市場規模 https://glamping-association.or.jp/glamping-market/
その後、2021年に150件以上のグランピング施設(注:ホテルやキャンプ場が常設テントなどを設置した事例を含む)が増加したことにより、その市場規模は2022年1月時点で800億円~900億円前後まで拡大していると試算しています。
また、2023年までに、新たに200施設以上の開業が見込まれている為、グランピング業界の市場規模は1000億円に達すると見込んでいます。
コロナ禍に対応できる事業として注目を集めているグランピングですが、その事業特性や政府の経済対策により、市場拡大ペースが急上昇していることが窺えます。
事業再構築補助金におけるグランピング事業の採択件数
2022年以降、グランピング市場の拡大に大きく寄与すると考えられるのが、菅政権時代に始まった「事業再構築補助金」です。
コロナ禍の影響を受けた中小企業の事業内容を再構築し、危機を乗り切ることを支援する目的の大型補助金です。
「3密回避をイメージさせるグランピング施設」がコロナ禍で人気化したことがメディアで度々取り上げられ、多くの事業者がグランピングに関心を持つことになりました。
そのため、事業再構築補助金における新分野展開など、新規事業にグランピングを選択する中小企業が続出しています。
下表は第3次までの「グランピング」のキーワードを含む採択済補助事業の件数です。200を超える補助事業が採択されており、「グランピング」が事業再構築補助金の中で、屈指の人気になっていることが窺えます。
採択結果 | 北海道・東北 | 関東・甲信越 | 東海・北陸 | 関西 | 中四国 | 九州・沖縄 | 合 計 |
第1次 | 4 | 23 | 8 | 5 | 8 | 6 | 54 |
第2次 | 4 | 25 | 17 | 20 | 11 | 11 | 88 |
第3次 | 4 | 33 | 12 | 14 | 19 | 12 | 94 |
合計 | 12 | 81 | 37 | 39 | 38 | 29 | 236 |
事業再構築補助金とグランピング事業の相性の良さ
なぜ、これほどまでに事業再構築補助金におけるグランピングの採択が多いのか?と疑問に思う方も多いかもしれません。
(一社)全国グランピング協会では、その理由は3つあると考えています。
➀補助額と助成率が標準的なグランピングの事業計画にマッチしている
②建物の新築や改築が補助対象になっている
③コロナの影響を受けた飲食業や宿泊業から参入が図りやすい
助成内容とグランピングの事業の相性の良さが寄与していると考えています。
➀補助額と助成率が標準的なグランピングの事業計画にマッチしている
事業再構築補助金における補助額は最大4000万円~8000万円となるケースが多くなっています。一方、補助率は2/3となるケースが多く、MAXの補助金を獲得する事業計画の予算規模は6000万円~1.5億円程度となります。
グランピング施設の開発予算はもともと、1億円前後となるケースが多く、中小企業にも検討しやすい予算感であるため、検討企業が増加する要因となっています。
②建物の新築や改築が補助対象になっている
事業再構築補助金は建物の新築費用や改修費用が補助対象経費に含まれています。
グランピング事業においては、管理棟やテント設置が必要であり、初期投資の大部分が
建築費に該当します。このため、グランピングの場合、新規事業の大部分の投資が事業
再構築補助金の対象経費になるため、参入を検討する企業が増加した要因となったようです。また、車輌は補助対象経費となりませんが、トレーラーハウスは一定要件を満たせば、補助対象経費とすることが認められていることも、追い風となっています。
③コロナの影響を受けた飲食業や宿泊業から参入が図りやすい
今回の事業再構築補助金では、飲食業や宿泊業の採択が目立っています。事業再構築補助金の対象要件には、売上高減少要件が存在し、コロナで大きな影響を受けた宿泊業や飲食業で検討されることが多くなっています。また、事業再構築補助金には、SWOT分析を行い、会社の強みや経営資源を新規事業で活かすことが求められていますので、全く無関係の事業を検討するよりは、飲食提供が必要かつ宿泊ビジネスの1カテゴリーであるグランピングが検討しやすいという背景があります。この点もグランピングの採択件数が多くなっている背景と考えられます。
(一社)全国グランピング協会では、グランピング施設の開業支援を行っていますが、現在進行中の約100案件のうち、実に半数近くの45案件に事業再構築補助金が活用されています(補助金申請中の案件を含む)。
また、事業計画書の作成支援業務においても、36案件に関わっており、採択結果が出ている18案件のうち、17案件で採択されています(採択率94.4%)。
グランピングがコロナ禍でも安定的な集客状況であることが幅広く知れ渡っていること等も高確率で採択されている結果につながっていると考えています。
この記事を読んでおられる事業者様で事業再構築補助金の申請をお考えの方は、ぜひ、一度、お問い合わせをいただければと思います。
補正予算により、第8次までチャンスがある
事業再構築補助金は、12月21日、補正予算が確保されました。
その額は6123億円規模であり、令和4年においても、3度程度の公募が行われることが発表済です。6次以降については、建物の新築費用に対する補助率や小規模企業向けの補助限度額の切り下げが実施されますので、魅力度は低下しますが、それでもありがたい補助制度であることに変わりありません。
仮に第8次まで公募が行われるのであれば、2022年の11月~12月頃までに事業計画を作成し、申請することが可能と考えられます。
あと、1年の余裕がありますので、今(2022年1月)からでも事業立案は十分に間に合います。申請要件を満たしている事業者様は選択肢の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
競争激化に対応する生き残り策
事業再構築補助金が第8次まで公募されることを考えますと、グランピング事業の採択件数は更に増加する可能性が高く、その数は400件前後に及ぶ公算が高いです。
当然、それだけの数の開業があれば、業界内競争も激しくなることが見込まれます。
そこで、来るべき競争に打ち勝つ事業計画を立案するポイントについてお伝えします。
➀安全性の高い収支計画を立案
(一社)全国グランピング協会では、事業計画を立案する際、安全余裕率を40%以上に設定します。安全余裕率40%とは、「計画数値から40%の売上減少が発生しても、損益分岐点をキープできる(赤字にならない)」ことを意味します。
計画策定のポイントは、事業における固定費を可能な限り小さくすることです。固定費のうち、最も大きい経費は運営人件費となります。食事提供オペレーションや客室清掃の業務体制を工夫することで、固定費は抑えられます。
また、限界利益率についても、集客手数料やクレジット手数料、リネン費を適正水準に設定することで、65%以上に設定することが可能です。計画作成にあたり、詳細にご興味がある方は、個別にお問い合わせ下さい。
➁マーケティングに強いパートナーとの提携
宿泊業界で圧倒的な存在感を持つ大手OTA(オンライン・トラベル・エージェント)による集客を検討しておられる事業者様が多いように思います。
しかしながら、グランピング集客では大手OTA頼みはリスクが高いことが認知され始めています。大手OTAは、数百の客室を持つ大型宿泊施設を優遇しています。
獲得する手数料の最大化を考えれば、至極、当然の方針であり、私共がとやかく言う話ではありませんが、この点がグランピング事業には合わない点となっています。
グランピング施設は敷地が広大でも10室~20室程度の施設がほぼ大半です。
つまり、客室数が少なく、売上規模が小さいグランピング施設が開業しても、その情報は拡散されず、集客不振となるケースが目立ってきております。
リゾートグランピングドットコムを運営する㈱ブッキングリゾートは、グランピングに特化したポータルサイト運営をはじめ、グランピング集客専門企業です。
同社が保有・運営するグランピング関連のWEBサイトは100以上にのぼり、国内随一の集客プラットフォームを構築しています。
また、施設開業の情報を拡散するSNS広告やテレビ取材獲得、インフルエンサーの派遣などの販促支援策をワンストップで提供しており、2021年5月~2022年4月の取り扱い実績は43億円を見込むなど、グランピング集客に最も実績のあるパートナーです。
【外部リンク】㈱ブッキングリゾート運営のリゾートグランピングドットコム
https://www.resort-glamping.com/
【外部リンク】特化型ポータルサイトに蓄積した豊富なデータを武器にグランピング施設の集客・企画・開発・運営を支援(月間レジャー産業2022年1月号:総合ユニコム)
https://www.sogo-unicom.co.jp/leisure/mag/202201/05.html
➂コロナ後の大競争時代への準備を万全に
事業再構築補助金による参入増加を背景にグランピング業界は、近い将来、競争激化が不可避と考えられます。また、コロナ禍が収束するにつれ、ブーム化したトレンドが沈静化し、一時的に市場縮小するリスクも想定しておく必要があります。
事業参入を検討する場合は、売上低下リスクや単価下落リスクに対応できる余裕を持った事業計画を立案することが必要です。
低稼働でも利益が出せる仕組みづくりを進めなくてはなりません。弊協会では、年間稼働率50%でも、売上高対比で営業利益率30%程度を確保できる収支計画の立案をサポートさせていただいております。
また、競合の激しいエリアでは、温泉やサウナなど、冬集客に欠かせないコンテンツの確保をお勧めするケースもあります。オフシーズン対策を講じた上で、50%稼働&利益率30%を達成するためには、意図的に数値目標を意識した計画を立案する必要があります。
単純なコスト積み上げ方式では、筋肉質な収支モデルを組み立てるのは困難です。
さらに、アフターコロナを見据えたインバウンド集客の検討もするに越したことはありません。グランピング施設は自然を楽しむ前提で開発されることが多く、大抵のケースで2次交通面の弱点があります。この弱点を補う送迎体制の構築やそのPR手法について準備しておくことがインバウンド対策には欠かせないテーマと考えられます。
弊協会では、数々の先行事例を研究し、競争に強い事業モデルの構築を支援させていただいております。
ご興味をお持ちいただいた事業者様はお気軽にお問合せください。